天下一薪能、見てまいりました

少し遅くなりましたが、天下一薪能見学のご報告です。
舞台については、乾さんが褒め称えておられますので、私は当日の感想を少し。

まず、舞台の配置が素晴らしいなあと感心。千人殺しと呼ばれる石垣が背景なのはご存じの方もいらっしゃるでしょうが、その回りもすこいです。まず、両脇にスギの高木がすっくと立ち、中央にクスノキの巨木が配置されています。しかもこのクスノキ、石垣から生えていて、それが凄くアクロバチックな生え方で、舞台に強い緊張感を与えています。
こんな迫力のある自然+人口の造形物を背景に舞われる能は、日本でここだけ、じゃないでしょうか。申し訳ないけれど、能楽堂の背景に描かれるマツでは残念ながら勝負にはなりません。天下一薪能は、舞い手+面+舞台空間のすべてに一級品がそろっているという点で、天下一なのだと思います。
そして、こうした自然の迫力の前で舞うことは、本来、日本の伝統芸能の生誕にも関わる本質のようにも思います。奉納というのは、八百万の神々=自然への敬意だと思うからです。
天下一薪能には、そうしたことの本質も備わっているように感じます。だから実際にこの空間に身を置くと感動するのだと思います。少なくとも僕はそう思いました。

正面から舞台を見た写真と、舞台袖から見たパノラマ写真を掲載します。
みなさんに、この迫力、少しでも伝わると嬉しいです。


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