JA82連続シンポジウム 羽藤英二先生レクチャー

8月24日に新建築の吉岡ライブラリーにて、羽藤英二先生×乾久美子で「日本を救う10万都市論について考える」というタイトルで、レクチャーが行われました。

レクチャーの様子は新建築社HPから視聴することができます。
http://www.japan-architect.co.jp/jp/tv/

羽藤先生は東京大学都市工学科で交通計画、モビリティデザインについて教えていらっしゃいます。今回のレクチャーは延岡のプロジェクトにも参考になる考え方を聞けるのではないかと期待しながら聞いていました。

先生の話の中でいくつか街を考える上で重要なキーワードが出てきました。その中でも「遅い交通」「small start」の二点が特に重要なのではと感じました。「遅い交通」は文字通り、車ではなく歩行や自転車を中心とした交通です。そのなかで興味深かったのは、横浜の東横跡地、ヨーロッパの旧市街やNYのハイラインなど、うまくいっている歩行空間の範囲は、概ね1.8km、時間で言うと27分程度というものです。これは延岡に置き換えてみると、駅から川南のイオンが直線距離で約1.5kmなので、このぐらいの距離感になります。歩行距離だと、駅から市庁舎で約1.5kmです。偶然にも、二つの施設が「遅い交通」にとってちょうどよい距離感にあることがわかり、すこし嬉しくなりました。

「small start」は、突然大きな開発を行い大成功をねらうというのではなく、いくつかの小さな成功からスタートしていくという考えです。羽藤先生がおっしゃられていたのは、3つぐらい良いお店が集まると、その周辺の雰囲気を作る事が出来る。まずはその周辺の歩行空間や駐車場を整備し、小さな島、核を作る。そのような小さな島を町中にいくつか設定し、それらを関連づけていくという考え方です。ここでも延岡のことを思い出して聞いていたのですが、「3つぐらいの良いお店が集まる」という状態は、以前このブログでご紹介した土々呂の「コニファー」「petanpatan」「ひまゆい」がまさにそれに当たるのでは思いました。

こうした羽藤先生のレクチャーを聞いていて、僕なりにいろいろと妄想がひろがってしまいました。

駅だけが突然完成すれば、大きな開発になってしまうので、駅完成までの5年間にすこしづつ小さな成功を積み重ねていく。その方法の一つとして、大凡1.8km程度である延岡の中心市街地を中心に、土々呂のような雰囲気のよいお店を、改装という小さな行為で進めていき、歩行空間として整備していく。その一歩として延岡市が推進しているチャレンジショップ事業が考えられるかもしれません。お店でなくても、市民の方とstudio-Lによる市民活動の場でもよいかもしれません。そんな風になるといいのかなあと。いずれにせよ、非常に勉強になりました。

yamane