継続は市民力なり

10月23日、延岡駅前で実施された「駅前音楽祭市場」について、書かせていただきます。本来だと中心的な役割を見事に果たした実行委員長の内田さんや、そのサポート役を務めたブックワームの瀬川さんがリポートすることかも知れません。そういうわけですから、あくまでも今回はサイドものとして捉えてもらったほうがいいかも知れません。

 この日、このイベントは「駅まち」の将来を考えていく上で、社会実験という視点をしっかりもって、「駅まち市民ワーク」のPRブースを設置して、その“店番”を務めるというカタチで12時ごろから最後まで、ほぼ定点で、駅周辺の人に声を掛け、掛けられながら「駅まち」についていろんな方と話をしながら参加しました。

 天気にも恵まれ、終日多くの人たちで賑わいましたが、それよりまして、駅広場の活用の可能性がいっぱい見えてきました。まず、今回、駅広場付近は交通業者にとっては、とても大切な場所にも関わらず、西口正面の進入路を人手が増えてくる夕方から進入禁止にしたことだと思います。かつて、自分自身も駅前広場の活用を模索したことがありましたが、それはあくまでも車の通らない広場と通路内だけで完結するもので、私個人の趣味で実施した電車の写真展も駅構内の1番ホーム内でやらざるを得ませんでした。

 今回は違っていました。イベント全体の規模が大きかったから出来たことなのかもしれませんが、そうではなく、それだけの規模のイベントを企てた内田さんの発想と思いが、いままで考えられなかった状況を生んだと思っています。つまり、主催者の思いや、気持ち、それを後押しする市民の共感があれば、交通業者もそして警察も頑なさが溶け出すものだということを、強く感じさせました。

 この最初の一歩は、次に繋がるものです。ここで得た自信と可能性は、「駅まち」の社会実験としても大きな成功をもたらしたものと思います。今後私たちが考えなければならないのは、こんなイベントを毎月のように開くことは難しいということです。私たちが目指しているのは、小さくてもいいから毎週駅前では何かやっているという、企画やイメージを市民に提供することが、私たちが目指す“賑わい”だということです。内田さんも同じように考え、今後、駅に人が集まってくるために、毎週でも出来るような小さなイベントを市民の趣味、文化、スポーツ団体と連携しながら積みかせねていくことがとても大事であると同時に、この場所はそれにふさわしい場所であることを市民たちはたぶん気づいたと思います。「広場内にコンセントがあるといいよね。」とか、「架設の小さなステージがあればいいよね」「そうそう、それもお年寄りでも、女性だけでも簡単に組み立てられるようなもの」といった具合に、1つの社会実験は多くの気づきをくれたのです。

 客として訪れた人々にも変化を生み始めていることも感じました。車移動が当然の延岡で、駐車場が近くにないから行かないではなく、おいしい地ビールや地酒やおいしい地元食材が食べられるなら、電車で行こうか、バスで行こうか、きょう車を少し遠くに止めて散歩しながら行こうかというマインドの変化を生んでいく可能性も出てきました。

 「継続は力なり」といいます。しかし長くイベントに関わっていると主催者は、回数を重ねる度に「力がなくなる」というのが正直な気持ちです。こうした駅前でのイベントも一部のヤル気をもった人たちに依存しているだけでは、力がなくなってくるというものです。「されど、継続は力なり」だと私は思います。自分の力は年々衰えてきますが、継続することで「私もここで、何かがしたい」という新しい力が集まってくるからです。それが市民力です。駅からまちへ市民力を広げる実験をこれからも継続して続けてくことの大切さを知った1日でした。

fukuda