非営利の市民団体がこのプロジェクトに参加する意味

市民協働のまちづくりを目指す延岡市にとって、延岡駅周辺整備の取り組みは大きな試金石になると受け止めています。これからの延岡市の顔となる延岡駅とのその周辺整備を実施するにあたり、計画段階から市民参画の手法を選択したからです。特に今回は従来の商業者に限らず私たちのような非営利の市民活動団体が参加するのです。中心市街地整備に市民活動団体が参加することの意味とその背景を考えてみました。
私たちのような非営利を基本とする市民活動が、街の商業集積地である街中とどんな関係があるのだろうか。相容れないように見える両者の結びつきは、意外と古い。かつて中心市街地の核となっていたデパートや大型店は物を売ると同時に、地域の文化発信地でもありました。延岡でもアヅマヤ百貨店の上層階には「催事場」なる多目的なフロアがあり、まだ公共的な文化施設がないころ、その場所で絵画展等の芸術文化活動や、講演会等の催しが行われていたことを覚えているでしょうか。人が集まる大型店で買い物のついでに文化芸術に触れてきました。そういう意味で商業施設であるデパートは地域の中で公共施設としての役割を果たし、そうした文化芸術活動を通して市民たちが街の賑わいを創りだしていたのだと思います。
 そうした場は、市街地の核となってきた大型商業施設がなくなり、市民活動の活動拠点となる専門的な施設が整備されたこともあり、両者の関係性は薄れてきていますが、街の賑わいと非営利を基本とする私たちの活動の関係性は深いわけで、実は今回の駅前周辺整備の取り組みの基本になっていると考えています。つまり大型店舗はなくなりましたが、それを面で捉えてみると、商店街の合間に小さくても使い勝手が良い機能的な公共スペースを整備することで、そのスペースを市民団体が活動の場として利用し、賑わいを再び創り出そうというわけです。
 こうした取り組みを可能にしているのが、私たちの市民協働まちづくりセンターを核とする市民力とそのネットワークだといっても過言ではありません。まちづくり活動はもちろん、福祉、環境、スポーツ文化など多様な新しい公共を生み出す延岡の市民力が、中心市街地に入り込むことで新しい街の賑わい創りはできないだろうかという、挑戦なのです。いわば延岡の街の特性を活かしたまちづくりは、国内はもちろん海外でも活動する多くの建築家やデザイナーの支持を得ているから、一緒に延岡市民と共にこの事業に参画したいという5人がプロポーザルに名乗りをあげたのです。この5人の中から選ばれた乾久美子さんがデザイン監修者として自分なら市民と一緒にこんな延岡のまちづくりをやるという提案をするのです。
 そのために、私たちが自分達の活動を街で展開するには、こんな使い方ができるものにしたいといった考えを伝えることが大切。その伝える作業がこれから1年間にわたって実施するワークシッョプ。人任せにすることなく、私たちの市民力を発揮する場所としての駅周辺のまちづくりに積極的に参加し、一緒に知恵を絞る市民協働のあり方を示す機会として、このプロジェクトは大きな意味を持つと思っています。

 fukuda