立ち呑みの駅

延岡市民協働まちづくりセンター「のべおか市民力市場」です。

夕刻、延岡駅を降りてタクシー乗り場に向かうと、駅トイレの隣に「立ち呑みの駅」という赤提灯が灯っています。文字通り赤提灯に誘われて暖簾をくぐり引き戸を開けると、まさしく立ち呑み屋さん。

 小さなテーブルが四つと、小さなカウンターがある。店内には椅子がないからこれで十分。結構寛げる空間。出されるお酒は、「ひでじビール」「清酒千徳」「佐藤焼酎」と、延岡が誇るバラエティーに富んだ地酒の“三蔵”の製品。肴は「島野浦のあげみ」「行縢の地鶏」といったこれも延岡の名物ばかり。延岡にこだわっているのにはわけがあります。経営しているのは延岡観光協会。アンテナシッョプとして位置づけ、延岡の“モノ”を発信しています。

 大都市のターミナル駅に行くと、駅は電車に乗るためだけでなく「駅なか」と称して、ショッピングモールが形成されています。身近なところではJR博多駅のように、車で福岡に行って博多駅でお買い物ということが、普通の話になっているように、駅が交通の結節点というだけでなくショッピング等で集まる場所であることは、もう当たり前の話です。でも、延岡駅のような駅では、まだまだ電車に乗ること以外の目的で行くことはないし、列車から降りたらすぐ駅から離れることになります。

 そういう意味で、この小さな立ち呑みの駅は、延岡駅にはじめて出来た“溜め”の空間ということです。前々から駅の“溜め”の必要性を強く感じていましたから、昨年の5月に開店したときは大いに喜んだところです。

 ちょうど1周年を迎えた立ち呑みの駅に行くと「もうすぐ3000人突破!」という張り紙がありました。1年で3000人近い人が、ここで“溜め”を作ったかと思うと感慨深いですね。その1周年記念として1,000円で「nomoka」カードが発売されました。この立ち呑み屋さんだけでドリンク2杯と特選つまみが付くチケットです。「suika」でも「sugoka」でもありませんから電車には乗れませんよ。こうしたユーモアあふれた手作りのカードは、1年間交代でこの店を運営してきた若い観光協会職員の手作りだということ。なにか自分達が駅を使って愉しんでいる感がたまりませんね。

 駅を使って愉しむ、遊ぶ。次回は、駅で愉しむだけでなく、本当に延岡発着の列車を使った遊びについて書きたいと思います。 

fukuda