チキン南蛮イベントと立ち呑みの駅から「脱車社会」が見えてきた。

7月8日に延岡駅周辺に賑わいをつくろうと、延岡発祥チキン南蛮の記念イベントを延岡駅のある川北地区を中心に実施した。宮崎からも特急電車で参加を呼びかけたりして、駅周辺という特徴を活かしたが、意外な効果と、駅周辺整備のヒントを掴んだような気がする。

 列車を利用したのは、宮崎からの参加者だけでなく日向市や、独自に土々呂、旭ヶ丘、南延岡の各駅から集合場所の延岡駅前広場にやってきた人がいた。確かにお酒を飲むイベントだったし、また飲まない人や子ども連れの人にとって、悩みは車はどこに置いたらいいのだろうかということだった。でもみんな知恵がある。だったら電車で行こうとやってきたのだ。例えば南延岡から延岡まで市街地を移動するのに電車を利用する人は正直少ない。でも交通機関が発達している都会では、それって当たり前で、電車で一駅、二駅の移動って普通。それが延岡でしないのは、移動は車ということに固執しているにすぎないのではないかと思う。

 もうひとつ面白い話があった。延岡の立ち呑みの駅にいると、日向の駅前で飲んでいて、立ち呑みの駅が話題になり、面白そうだからと電車に乗ってきたというのだ。

 確かに、日豊本線の運行電車の数は少ないから不便といわれている。数は少ないのは乗らないからという一面もあるわけだ。延岡市は大瀬川の南。川南地区から土々呂地区にかけて多くの市民が暮らしている。その間に3つの駅がある。延岡市全体では8つもあるのだ。

 さて、延岡駅周辺整備プロジェクトの中で、その地域を暮らしと個店の商業者、そして私たちのような市民活動団体が混在しながら賑わいを創っていくということが大きなテーマになっている。その中で「歩ける街」がキーワードだが、歩くためにはどこかに車を置く駐車スペースをどうするかという議論がよくされるが、電車を利用するという古くて新しく発想によって車で移動という既成概念を崩していけば、よいのではないかと思う。

 延岡駅周辺の賑わいを創っていく市民が、その地域に行くのに、電車を利用し始めると、当然、短距離区間での電車の便は増えていくというものだ。同じように路線バスって、そういう客が増えてくれば、根本的に路線やダイヤを変更していくというものだ。そういう状況をつくっていくのはJRやバス会社でなく、私たち市民の車社会からの脱却からはじまっていくような気がする。 
fukuda